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外国企業の設立
会計と税金
  1. 届出

    1. 届出と選択


    2. 会社設立の際に必要な税務署等への提出書類と提出期限は以下の通りです。

    税務署への届出

    提出期限

    1. 法人設立届出書
      定款等の写し
      登記簿謄本
    設立の日以後2ヶ月以内
    2. 外国普通法人となった届出書 該当した日以後2ヶ月以内
    3. 青色申告の承認申請届出書 設立の日以後3ヶ月を経過した日と、その事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日
    4. 申告期限の延長の特例申請書 適用事業年度終了の日
    5. 給与支払事務所等の開設届 開設の日から1ヶ月以内
    6. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 10人以下の従業員を雇用する事業所で納期の特例を希望するとき
    7. 減価償却資産の償却方法の届出書 設立第1期の確定申告書の提出期限
    8. 棚卸資産の評価方法の届出書 同上

    市町村民税(都税事務所)

    提出期限

    1. 事業開始等届出書
       定款等の写し
       登記簿謄本
    事業開始の日から15日以内
    2. 申告期限の延長の特例の申請書 上記4と同じ

  2. 青色申告と帳簿の作成

    1. 青色申告制度
    2. 青色申告をする事によって欠損金の翌期への繰越や(租税特別措置法上の)特別償却など様々な特典が与えられていますので、現在多くの企業が青色申告を行っています。

    3. 青色申告の承認申請
    4. 新設の企業が青色申告を選択しようとする場合には、設立後3ヶ月を経過した日と設立後最初の事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに管轄の税務署に対して青色申告の承認申請を行わなければなりません。

    5. 帳簿の作成とその保存
    6. 青色申告制度の下では、一切の取引に付き複式簿記の原則に従って、整然とかつ明瞭に記録した必要な帳簿類(日本円での記録を要する)を備え、それらの帳簿書類を7年間は日本オフィスにおいて保存しなければなりません。

    7. 日本円ベースの記帳
    8. 往々にして、該当する為替相場を基に、日本円での取引が海外通貨に換算されて記帳される事があります。そして、年末に、日本での税金報告の為に、海外通貨ベースで作成された財務諸表を再度日本円に換算するという事があります。これによって、累積的な外貨換算差異が日本円ベースの財務諸表で認識される事になります。

      しかしながら、その様な海外通貨ベースの記帳や一度海外通貨ベースで作成した財務諸表を再度日本円に換算するということは、日本の税法上認められていません。日本で事業を展開している限り、通貨は日本円でなくてはならず、日本円ベースの記帳が義務付けられています。

    9. 日本の会計基準と他の会計基準
    10. 記帳や記録は日本の会計基準に従って作成されなければなりません。もし、US会計基準やIFRSの様な他の基準を採用したならば、基準間での適切な調整を行い、その調整の裏付となる資料を日本で保管しなくてはなりません。

      日本の会計基準と他の基準との間に大きな違いはありませんが、外国事業者が日本で事業を始める場合の典型的な違いは以下のとおりです。

      1. 減価償却費計算の為の耐用年数
      2. 固定資産の計上基準に関する規定
      3. リース会計
      4. 未消化の有給休暇にかかる費用
      5. 繰延税金

    11. 会計ソフト
    12. 海外の会計パッケージシステムは、通常、消費税を正確に処理する事が出来ません。その場合、事業者は、全ての取引について消費税を分けるという追加的な作業が必要となります。

      一方、日本の会計パッケージシステムは自動的に消費税を分けて計算し、消費税の分析と調整を行います。

      一般的には、日本の会計ソフトを使用する方が、記帳も納税申告準備も円滑に進むと考えます。

  3. 申告制度(税金の申告と納付)

    ・ 法人税の中間申告
    ・ 消費税の中間申告
    ・ 住民税・事業税の中間申告

    事業年度の最初の6ヶ月終了時から2ヶ月以内 ・ 税務署
    ・ 税務署
    ・ 地方税事務所
    ・ 法人税の確定申告(注1)
    ・ 消費税の確定申告
    ・ 住民税・事業税の確定申告(注1)
    事業年度終了時から2ヶ月以内 ・ 税務署
    ・ 税務署
    ・ 地方税事務所
    ・ 償却資産申告書 1月31日 ・ 地方税事務所

    (注1)期限の延長届を出していれば、事業年度終了時から3ヶ月以内が申告期限となります。

  4. 消費税

    1. 概要
    2. 消費税は、金融取引、資本取引、医療、福祉及び教育の一部を除き、ほとんど全ての国内取引や外国貨物(輸入取引)を課税対象として、5%の税率で課税される間接税です。納付税額の一般的な計算式は次のとおりです。

      納付税額 売上に係る消費税 仕入に係る消費税
          (課税売上×5%)   (課税仕入×5%)

      仕入税額控除の適用を受けるには、その課税期間の税額の控除に関する帳簿、及び請求書等の保存があることが必要です。

    3. 課税事業者の選択届提出時期


    4. (i) 課税事業者の選択

      基準期間中の課税売上高が1千万円以上であれば、企業は消費税申告をしなければなりません。基準期間とはその年の事業年度の前々事業年度をいいます。

      ・ 資本金1千万円以上の新設法人については、その設立当初2年間について納税義務は免除されません。

      ・ 資本金1千万円以上である場合を除いて、新設法人は設立事業年度とその翌年は基準期間の課税売上高が無いので免税となります。しかし、新設法人は設立当初2年間について仮払消費税が仮受消費税より多額であった場合でも、還付申告ができないこととなり、不利となる場合があります。このような場合、会社は設立当初2年間についても課税業者となることを選択することができます。

      一般的に言えば、企業が設立当初1、2年の間に多額の投資をする場合などは、課税業者の選択をした方が消費税の還付申告を行えることになり有利といえるでしょう。消費税の還付申告に掛かるコストと還付額とを比較考慮する必要もあります。

      (ii) 届出の時期

      資本金が1千万円未満の新設法人が課税業者の選択をするときは、設立後、最初の事業年度の終了の日までに届出をしなければなりません。

    5. 中間申告
    6. 1ヶ月ベース、3ヶ月ベースや半年ベースでの消費税の中間申告が必要な場合があります。

  5. 当期純損失

    設立したばかりの会社にとって、設立当初から利益を生じる事はあまり無いと言えるでしょう。法人税法には、青色申告をしている会社は当該事業年度の所得が欠損金額となった場合は、欠損金額に相当する金額は事後の7年間に繰り越す事が出来るという規定があります。

  6. 監査の必要性

    日本においては、企業の事業年度終了後、3ヶ月以内に定時株主総会を召集する必要があります。そこで、企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)につき定時株主総会で株主の承認を得なければなりません。

    会社の規模と承認次第では、定時株主総会はペーパー上のみで開催する事も可能です。その場合、定時株主総会議事録は代理人(弁護士等)により作成されます。

    新会社法の下では、非公開の中小会社において監査役を選任する事は義務付けられていません。一方、一旦監査役を選任した場合は、定款で責任が制限されていない限り、その監査役は会計に関する事だけでなく、業務に関する事まで責任を負います。会計監査に責任が制限されている場合における監査報告書の文言は以下のとおりです。

    「私、監査役は○年×月△日に、(企業名)の◇年◎月▽日を期末とする貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表を監査致しました。

    私の意見では、(企業名)のこれらの計算書類は、法令に従い会社の財産及び損益の状況を正しく示していると認めます。」

    監査報告書は法的な基準に応じて日付を入れなくてはなりません。

    外部監査

    中小会社(資本金が5億円未満かつ総負債額200億円未満の企業)については、外部監査(会計士による独立した監査)を強制されません。

    海外の親会社が日本の中小会社となる子会社もしくは支店に対して外部監査を行いたい場合、任意の監査契約(もしくは合意に基づく限定監査契約)を親会社の監査人と日本の監査人との間で結ぶこともできます。

  7. 支店と会社の比較

    支店と会社の税務上の比較は次の通りです。

    項目 支店 会社
    1. 課税所得 日本源泉の所得 全世界所得
    2. 税率
     (1) 法人税 30% 30%
     (2) 事業税(注2) 9.6%(注1) 9.6%(注1)
     (3) 法人税に対する住民税 17.3% 17.3%
     (4)=(1) - (3)の合計 44.8% 44.8%
     実行税率(4)X1/(1+(2)) 40.9% 40.9%
    3. 親会社の配当ないし本店への送金の取扱
     (1) 源泉税 不要 20%。多くの場合租税条約により0%、5%、10%に軽減もしくは免除
     (2) 送金可能性 可能 可能
    4. 本支店間ないし親子会社間の経費の付替 本店ないし親会社で支払われた支店ないし子会社の経費は、それらが特定できる限り日本へ付替可能。一般には支店の方がそのような経費の付替は容易である。会社もそのサービスを受けていることが特定できれば可能。
    5. 税額控除
     (1) 利子 控除可能 控除可能
     (2) 日本の会社からの配当 控除不能 控除可能
    6. 税務申告に添付される財務諸表 本支店合算の財務諸表 子会社のみの財務諸表
    7. 商法による法定監査 不要 以下の場合に必要
    ・ 資本金5億円以上、ないし
    ・ 負債総額200億円以上
    ・ 公開会社
    8. 報酬
     ・ 支店ないし子会社における取締役のボーナス 損金不算入(事前に届け出ればその限りでない)
    なるべく取締役の数を抑える
    損金不算入(事前に届け出ればその限りでない)
    最低1名の取締役が必要
     ・ 通常の報酬 損金算入 損金算入
    9. 会計報告 子会社ほどの準拠性は不要 日本の会計原則への準拠性が求められる

    (注1) 資本金が1億円以下の会社に適用される税率です。
    (注2) 資本金が1億円超の会社の事業税については、外形標準課税が適用されます。その場合は、仮に課税所得がなくとも、会社の付加価値額や資本の額に対して一定の課税がなされます。詳しくは税務専門家にお尋ねください。

 
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