進出企業紹介

Interview

進出企業紹介

インタビュー

シャネル株式会社

大阪に活力をもたらす企業家へのインタビュー 2007.12.10
シャネル株式会社
~核心を聞く~
日欧経済は「統合」を目指せ
シャネル日本法人社長
リシャール・コラス氏
大阪のメーンストリート、御堂筋が完成して70年。高級ブランドショップが続々開店するなど、おしゃれな街に変わりつつある。そこで、心斎橋に路面店を構えるシャネル日本法人のリシャール・コラスさんに、大阪・関西経済の現状について聞いた。一カ月に1回は来阪するというコラスさんは「日欧経済は統合を」「歩道を広げて御堂筋をより魅力的に」と提案した。
Q初めて訪れたときの大阪の印象はどうでした。

初来日は35年前、17歳の時だった。大阪城を見て日本の美とパワーと歴史を感じた。何しろ、日本の城を見たのは初めてだったから。それと、大阪には川が多く、ベニス(イタリア)に似ているなと感じた。また、当時は高層ビルが少なかったので、広い街だなあとも思った。

Q最近の日本は。

24時間買い物や食事ができるなど、日本人の生活のリズムは変わったが、私が35年前にひかれた日本人の優しさ、心の譲り合いなどは変わっていない。サービス精神も抜群だ。治安が悪くなったと言われるが、他国と比べるとまだ良い方だ。

Q大阪・関西をビジネスの観点から見ると。

30年も前から大阪で商売しているが、当時から大阪に親しみを感じていた。私は南フランス出身だが、大阪人と気質が似ている。大阪の何人もの経営者から商売のやり方を教わった。大阪の女性は、東京に比べてエレガンスで、ファッション感覚が優れている。『舶来品』にも抵抗がない。

Qシャネルは直営路面店の心斎橋店はじめ、百貨店内ブティック、香水・化粧品、宝石コーナーなど多面的な展開をしているが、業績と今後の戦略を。

心斎橋店は96年春、ほかのブランドショップより先に開店した。リーガロイヤルホテル内のブティックも20年以上になる。不思議なことに、関東が元気だと関西の元気がなくなる。関西が元気になると関東はその逆。関西の店舗はここ2、3年苦戦だったが、最近回復してきた。今後は店舗数を増やすより、既存店に力を集中させていく。

Q関西では、百貨店の増床・出店計画が相次ぎ、店舗過剰を心配する向きもあります。

人口が減少して来ているので、やり方次第で勝ち負けがはっきりして来るのではないか。経営統合により相乗効果が出てきて、パワフルになることも予想される。

Q御堂筋をパリのシャンゼリゼ通りのように魅力的な通りにするには?

御堂筋は、長さや幅など東京・銀座中央通りに比べてシャンゼリゼ通りに似ている。一方通行なのは違うが。御堂筋の歩道を広くして、いろいろなイベントができるようにしたら、内外のブティックや人が増え世界でも数少ない通りになるだろう。

Q欧州ビジネス協会長として、日欧経済関係の発展に望むことは。

日欧の国内総生産(GDP)は世界の40%を占める。日本と欧州は勇気を出して、個別企業の提携だけでなく、『統合』を図るべきだ。相互の先端医療分野の統合、スタンダードの調整などが一例だ。そうなれば、関西もよりダイナミズムが発揮できるようになる。

リシャール・コラス
1953年、フランス生まれ。パリ大東洋語学部卒。
在日フランス大使館勤務などの後、81年ジバンシー日本法人代表、85年9月シャネルに移り、95年8月、同日本法人社長に就任。
02年から08年まで欧州ビジネス協会長として活躍。