進出企業紹介
インタビュー
エクイニクス
大阪に活力をもたらす企業家へのインタビュー 2013.12.05
プレジデント
マネージング・ディレクター
Qエクイニクスについてご紹介ください。
[サミュエル・リー氏] エクイニクスは、インターネット接続とグローバル・データセンター事業に特化した企業です。5大陸、16カ国において100のデータセンターを展開しています。特に次の2つの事業に注力しています。まず、必要不可欠で、ネットワーク遅延の影響を受けやすいアプリケーションをホストするため、高品質で信頼性の高いデータセンター空間を提供しています。次に、データセンター内でインターネットの基幹回線への接続、つまり相互接続をサポートしています。エクイニクスのデータセンターはIBX (International Business Exchange)と呼ばれています。これは、データセンター内の顧客同士の取引やビジネス交流を促進するマーケットプレイスです。嬉しいことに、この大阪データセンターが世界でちょうど100番目のデータセンターになります。エクイニクスほど、グローバルに展開し、ネットワーク密度に注目し、ネットワーク遅延などのビジネス課題の解決とグローバル展開をサポートしている会社はほかにないでしょう。
Qご自身とエクイニクスの関わりを教えてください。
[サミュエル・リー氏] エクイニクスで仕事をするようになったのは14年前のことです。入社当時を振り返ると、なかなか感慨深いものがあります。ほとんど何もないような状況からスタートしました。数ページの事業計画書があるだけで、事業計画を実行する資金を工面するために、頭を下げて回らなければなりませんでした。お察しの通り、波乱万丈の道のりでした。2000年には、資金を手にした途端にドットコム・バブルがはじけ、突如苦境に立たされました。その後はSARSに襲われ、アジア、特に香港とシンガポールは大きな打撃を受けました。我々のビジネスにも影響がありました。このように様々な苦労を経て、ある日気がつくと、世界をリードするプロバイダーになっていたのです。市場で最後まで生き残ったわけです。今では通信事業者に依存しないキャリアニュートラルなプロバイダーとして世界最大手になりました。個人的にも私のチームにとっても、非常に興味深い経験でした。今でも、毎朝目覚めるとビジネスのことを考えてわくわくします。
[古田敬氏] エクイニクスに入社したのは4年ほど前です。それから非常に面白い経験をしてきました。弊社は急成長を遂げています。事業内容を絞り込み、それぞれの市場で尽力しています。日本でも成果があり、今年はついに大阪に進出しました。色々な意味でエクイニクスはユニークな会社で、いくつかの事業に特化しています。急成長を続ける中、慎重な面もあり、大阪の市場についても2年ほど調査してから最終的に進出を決めました。大阪は記念すべき100番目のデータセンターになるので縁起がいいと思っています。うまくやっていける予感がしています。
[サミュエル・リー氏] 2005年末に私がアジア太平洋地域の責任者に就任した当時、この地域の売上はわずか2千万ドル程度でした。昨年は過去最高となる3億ドルの売上がありました。2006年から現在までの間に、アジアだけで売上が10倍以上になったわけです。
Q大阪のデータセンター(OS1)について紹介してください。
[古田敬氏] 私たちは今、新しい大阪データセンターの中にいます。ここは大阪市の中心部です。ここを選んだのは、国内外様々なネットワークや通信事業者が容易にアクセスできる施設を作りたかったからです。我々は大阪のあちこちすべて見て回りました。そして京阪神ビルディングと提携し、この場所を選んだわけですが、エクイニクスのビジネスモデルを実現するには最適な場所だと思っています。エクイニクスのサービスは山奥ではできません。それにふさわしい場所でやる必要があります。我々は最適な場所を選んだと確信しています。
[古田敬氏] 我々は事業内容を絞り、ごく限られた数のサービスを提供しています。そして基本的には、世界のすべての市場で同じことをやっています。ですから大阪で受けられるサービスは、ニューヨークやワシントン、香港、シンガポールなどとまったく同じです。
Qエクイニクスの進出で大阪はどのように変わりますか?
[古田敬氏] 大阪に進出するグローバル企業が増えるでしょう。検索会社やコンテンツ会社、金融機関といったデジタル経済におけるグローバル企業は、東京と大阪の両方をカバーする必要があり、そうした企業の大阪進出が促進されるでしょう。これが1つ目の変化です。第2の点は、大阪エリアに本店や拠点がある日本のグローバル企業のさらなるグローバル化、海外進出が促進されることです。エクイニクスの進出によって以上の2点が変わると思います。
Qなぜ大阪を選んだのですか?
[古田敬氏] 日本は基本的に大きな市場です。日本全体の経済規模は大きく、ITデータセンターやコンテンツ会社だけでなく、多くのお客様にとって大きな市場があります。また1つの国に複数の拠点を置いて、その国全体にサービスを提供することはよくあることです。大阪を選んだ理由はごく自然なものです。東京にすでに進出していれば、日本で2つ目の拠点に選ばれるのは大阪でしょう。複数の拠点を持つ理由はいくつかあります。まず、リスク管理とセキュリティー上の理由です。BCP(事業継続計画)や災害復旧などです。しかし、大阪を選んだのはそれだけが目的ではありません。大阪自体が大きな市場ですし、弊社のお客様の多くは消費者や企業などのエンドユーザーの近くにいることを必要としているからです。そういうわけで日本での2番目の拠点はごく自然に大阪になります。
[サミュエル・リー氏] エクイニクスが新しい市場を検討する際、その市場は一定の基準を満たしている必要があります。まず、経済的観点からも通信インフラの観点からも、一流の都市でなければなりません。大阪の経済を見ると、大阪は誰にとっても非常に大きな市場ですし、通信インフラも洗練されています。ローカル・アクセスに関しては、インターネット接続、海底ケーブル・アクセスがあれば成熟した市場と言えます。大阪はこうした基準をクリアしていますし、外国からの投資も歓迎される雰囲気があります。この点も我々のお客様にとっては非常に重要です。
Q大阪進出において、地元企業との協力はいかがでしたか?
[古田敬氏] まず、ケイ・オプティコムと話を始めました。ケイ・オプティコムはアクセス・ネットワ―クのプロバイダーとしては市場最大手だからです。ですからごく自然に、一緒に仕事をしようという話になりました。そしてキャリアニュートラルというコンセプトや、よりグローバルな企業が必要であるという点で意見が一致し、弊社の大阪進出にあたり、一緒に仕事をすることになりました。そしてケイ・オプティコムから同じ関西電力グループであるKENES(関電エネルギーソリューション)を紹介してもらいました。
何回か話し合いをし、大阪に一流のデータセンターを設立するにあたって、KENESの専門知識を借りるのが良いと考えました。我々は東京の建設やエンジニアリング市場については熟知していますが、大阪進出に関してはそれほど知識を持ち合わせていません。ですから、彼らの専門知識を借りたいというのが協力を得た主な理由です。
[サミュエル・リー氏] 新しい市場に参入するには通常いくつかの選択肢があります。自分たちだけでやるか、我々が大阪でやったようにパートナーシップを見つけるか、ジョイントベンチャーを立ち上げることもあるでしょう。あるいはM&Aも考えられます。どのやり方にするかについて、決まったルールがあるわけではありません。市場の状況によります。
[古田敬氏] 大阪は非常に洗練された市場ですし、企業や経済の規模も極めて大きいです。進出するには誰かの助けが必要でした。そうすることで、市場に関して学ぶ時間を省くことができますから、賢明な判断だったと思います。
Q自治体やO-BICからの支援はいかがでしたか。
[古田敬氏] 大阪進出を決めた経緯に関しては、自治体からの支援に触れないわけには行きません。特に大阪市とは何度も打ち合わせをし、大阪府も参加してくださいました。地方自治体がグローバル経済やグローバル企業を誘致する姿勢をみると、大阪は日本の他の都市とは違っていると感じます。多大なお力添えをいただきました。進出のあらゆる過程で、地方自治体の支援は大変重要でした。
[サミュエル・リー氏] 歓迎していただいていると感じました。大阪は新しい市場ですから、これはとても大事なことです。資金だけでなく、時間とリソースの投資、経営陣の関与が求められますが、我々は非常に満足して投資を行っています。なぜなら大阪に進出してビジネスをすることを歓迎されていると感じているからです。このことは我々にとって非常に重要であり、ご支援に感謝しています。
Q日本進出を考えている外国企業にメッセージをお願いします。
[サミュエル・リー氏] 日本は世界の他の国々とまったく異なる市場だと思います。アメリカやヨーロッパだけでなく、他のアジアの国々とも違っています。日本には独自の文化とビジネス慣習があるため、グローバル企業が日本に進出する場合、時間をかけて市場について学び、関係を構築する必要があるでしょう。我々のように、現地企業の協力を得ることは大変有効で、市場について知る時間を短縮することができます。ですから、日本進出を考えているグローバル企業には、いきなり進出して何でも自分たちでやるのではなく、まず現地で関係を構築することをお勧めします。これは本当に役に立ちます。大阪に関しても同じことが言えます。なぜならグローバルな顧客や企業のほとんどが事業の継続と災害復旧に高い関心を寄せているからです。特に日本のような大きな市場は、多くのグローバル企業にとって大変重要ですから、BCPの観点からも分散戦略、つまり東京と大阪を活動の拠点とすることが極めて重要ですし、このような戦略が検討されるべきだと思います。
[古田敬氏] エクイニクスは2000年から日本に進出し、今日まで多くのことを学び、事業に活かしてきました。そして今ではこの知識を、日本進出を考えている外国企業にも共有することができます。日本は独自性の高い市場です。その独自性と世界との橋渡しをすることが我々の役割でもあります。
エクイニクス | |
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設立 | 1998年11月 |
本拠地 | 米国(カリフォルニア) |
親会社 | Equinix, Inc. |
事業内容 | International Business Exchange™ (IBX®) データセンターの運営 |
URL | http://www.equinix.co.jp |