進出企業紹介
インタビュー
株式会社 IE JAPAN
大阪に活力をもたらす企業家へのインタビュー 2016.03.28
代表取締役
Q御社についてご紹介ください。
IEジャパンは、イギリスのインテリジェント・エナジー(以下、IE)という企業が100%出資したグループ会社です。IEは、環境エネルギー分野で、燃料電池の開発をしている会社で、アメリカ、インド、日本、シンガポールなどに色々なファンクションがあります。日本では顧客開拓、事業開拓がメインです。
Qご自身について自己紹介をお願いします。
僕自身はいわゆるサラリーマンを商社で20年ほどやっていました。主に貿易業務をしており、商材としては電線を売っていました。電力会社さんとの仕事で分散発電源や、新エネルギーなどの仕事もその頃から色々と見ていました。燃料電池も分散発電源も新エネルギーの一つといえば一つですし、太陽光発電ですとか風力発電とか、そこにまつわる色々な蓄電池についてや、パワーコントロールに関する仕事をしてきました。今のIEという会社ともその頃からの付き合いです。
会社を辞める時にIEと一緒にやった仕事をもう少し日本で展開したいなという希望もありましたので、一緒にやらないかとなんとなくやり始めたというのが2010年、6年前のことです。
僕がやってきたことが活用できる部分も多分にありました。それはこういう環境エネルギー分野の仕事や、プロジェクトの進め方、日本における日本・イギリス・ヨーロッパ間の税務的な考え方や、法律的な考え方など、なかなか外国企業が日本に出てきて自分たちだけでできないところがいっぱいある中で、そこは機能できた部分だと思います。
また、もともとこういう仕事への経験(ヒストリー)があったので、うまい具合にはまりました。最初1-2年のつもりがこんな長い間やっているという感じですね。
Q拠点として大阪を選んだ理由は何ですか?
僕自身の挑戦として、関東に拠点を置いて仕事をすることで何を得られるのか、得られないのか探るのと、新エネルギー、環境シフト、分散発電源に関する仕事というのは、やはりその東京一極集中に対して地方の役割を見せるようなところも多少あると思います。僕も大阪は地方の一つとしてみているので、地方としてどう仕事を回していけるのか挑戦することは必要だと思っています。
関西としての大阪という所には、中央である東京に頑張って勝ってほしいという気持ちもすごくあります。
それと、僕らが働き始めた20数年前に比べると、今はパソコン環境、電話環境、それから電車・飛行機も含めて輸送環境など、そういったロジスティックスの面で移動が非常にしやすくなりましたし、コミュニケーションも非常にとりやすくなったというのが一つあります。そういったものを活用しながら仕事をすることによって、特段お客さんへの印象が悪くなるということもないといえばないです。例えば関東のお客さんのところに行く必要があればすぐ行けますし、行って話をして帰ってくるというようにきっちりと時間を活用するという意識も出てきます。
日本の場合1日あればどこにでも行けるので、仕事上の不便を感じるというのはどちらかといえば言い訳なのかなと思います。逆の見方をすると、大きな企業さんというのは、会社が東京にあって上司がいるところにいるのが安心感につながるのだと思います。
もう一つは、仕事を長い間していると、仕事環境だけでなく日常環境など、いわゆる今でいうワークライフバランスも含めて仕事時間以外に何をしたいのかを考えると思います。東京には魅力的なものがたくさんあって、お金があれば楽しいのかもしれませんが、地方なりの良さを感じられる部分はそんなにはないと思います。お金の面でのメリットも非常に低いと思います。自分の時間をどう活用するか、また仕事外の時間をどう活用することで仕事に対するやる気が出るかということを考えた時に、正直、今東京に住みたいとは思いません。そうすると、地方は地方で住みたいという気持ちを持たせるような魅力はあるはずだと思います。
Q進出時のO-BICをはじめとする行政のサポートはいかがでしたか
大阪府市という行政や、JETROさんなど、受けられる補助は受けようという気持ちはすごくありました。まず一つは、拠点探しや法律的な部分、税務的な部分の単なるお金の面だけじゃないサポートや助言などです。会社設立に関わる必要な手続きについて、司法書士さんや税理士さんなどの紹介をしてもらいました。O-BICさんには補助金もいただいています。
地方で会社を立ち上げると行政等の人たちとコンタクトを保つことによって何かあったときに助けてもらえるという利点があります。
逆に補助を受けることによって、行政の人も民間の人もそうですけど、支えてくれている人たちがいる、一緒に何かを創っているという気持ちにはなると思います。その一緒に創っている感触というのは、多分東京でこういうサポートをしている所ではあまり感じられないと思います。それは大きな違いだと思います。
Qその他、「大阪だからこそ」と感じたサービスやサポートはありますか?
弊社の会計をみてくれている企業さんとは、弊社の準備期間からのお付き合いになります。またベンチャー企業相手にしている会社さんですが、国際法務税法については専門外のため、弊社が法人化した時には納税ができないという問題が起こりました。そこで、弊社はデロイト・トーマツさんにも仕事をお願いしています。
うちの会社の規模とは真逆ですし、デロイト・トーマツも通常は弊社のような(規模の小さい)会社を相手にしません。
今は、僕がずっとお付き合いをしている会計事務所さんとトーマツさんと、三社で一緒に話合いをしています。
トーマツさんは国内外の大手企業ばかりを相手にしているので、こういう組み合わせでこういう仕事がある意外性を面白いと思っているみたいです。逆に僕は、O-BICさんにしろJETROさんにしろ、外資誘致される企業や団体に、こういう組み合わせが生まれるような支援・枠組みを提供してほしいという話を最近もしたことがあります。それは一つのビジネスのやり方ですよね。例えばこれが東京だと難しいのではないかと思います。大阪だからやってくれる、というのはあると思います。
Q設立してからこれまでの事業をどのように評価されていますか?
一言で言うと、日本の仕事はうまくいっています。思っていたよりは伸びているし、広がっているし、深まっています。他にも違う分野でまだまだやれることはあると感じているので、日本の仕事に関してはやる意義はありました。一方、ベンチャー企業であることに加え、環境分野の仕事はまだまだマーケット規模が大きくないので、会社全体としてはお金になってすごく儲かるといった道筋にはなりません。そこがまだチャレンジとして残っている部分ではあります。
Q今後の展望はどうお考えですか。
2017年中にスズキさんのスクーターにIEの燃料電池を搭載して公道走行させる計画があります。
そのために色々な地域で企業さんや団体に持ち掛けているところです。できれば日本とかイギリス・ヨーロッパとかアメリカのカリフォルニア州ですとか、水素エネルギーや燃料電池における水素インフラを推進しようとしている国・地域に持ちこんで行こうと計画しています。
二輪自動車が四輪車とは違う役割が果たせる部分はあると思います。そういうところに興味をもってくれる行政さんや団体もありますので、そこに投入して、何年間か公道走行させてみたいなと思っています。
Q大阪に進出を考えている外国企業にメッセージをお願いします。
東京も大阪も福岡も名古屋もそれなりの都市です。そうするとそれなりの都市部であって、大きな不便を感じずに済むという利点は大阪にもあると思います。密集しすぎていない点で住居環境と日々の環境のバランスのとりやすさを考えると、首都圏よりも関西圏のほうがバランスのいい生活が送れると思います。
逆に、外資企業は自分たちから行政の人たちに、こういうことをしてくれたらありがたい、というのをどんどん持ち込んだ方がいいと思います。
外資企業がそういう風に大阪という地方を育てるというイメージをもって進出するといいのではないかと思います。
大阪は十分便利ですし、バランスのとれた地域でもあると思います。試すに値する場所だと思います。
株式会社 IE JAPAN | |
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設立 | 2011年12月 |
本拠地 | 英国 |
親会社 | Intelligent Energy Limited |
事業内容 | 燃料電池システム開発企業であるIntelligent Energyグループの日本およびアジアでの市場開拓 |
URL | http://www.intelligent-energy.com/ |