設立の手続き

Starting Up Your Business in Osaka

大阪でのスタートアップ:始めに

社会保障制度

1. 日本における社会保障制度について

事業主はある一定の要件を満たす従業員を雇用する場合には、以下の保険制度に加入する必要があります。

  1. 労働者災害補償保険
    業務上災害または通勤災害により、労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、労働者またはその遺族に対し所定の保険給付を行う制度です。
  2. 雇用保険
    労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図ることなどを目的とした制度です。
  3. 健康保険(介護保険を含む)
    業務・通勤途上以外の病気やけが、またはそれによる休業、出産や死亡に関して保険給付を行う公的な医療保険制度です。従業員とその扶養家族が保険医療機関で医療を受ける際には、実際にかかる医療費の7割が保険で賄われます。
  4. 厚生年金保険
    従業員の老齢に対して年金給付を行うだけでなく、障害又は死亡についても保険給付を行い、従業員とその遺族の生活の安定と福祉の向上を目的としています。

一般的に上記の(1)労働者災害補償保険と(2)雇用保険を合わせて「労働保険」、(3)健康保険(介護保険)と(4)厚生年金保険を合わせて「社会保険」、といいます。

日本では「国民皆保険制度」を採用しており、すべての人が健康保険及び年金保険に加入することが義務付けられております。なお、この制度の適用に国籍は問いません。

2. 制度の概要と保険料率について

保険 給付 適用 保険料率 ※1
事業主負担 労働者負担
労働者災害
補償保険
業務上、通勤上の災害による死傷病、障害、死亡などに対する給付 労働者を使用する事業所に適用 0.25~8.8%
(業種により異なる)
(なし)
雇用保険 ※5 失業者、育児・介護休業取得者および高年齢労働者などへの給付 事業所に使用される労働者に適用(週20時間以上の短時間労働者も含む) 0.6%
(建設業等一部を除く)
0.3%
一般拠出金 石綿による健康被害を受けた方及びその遺族に対し医療費などを給付 労災適用事業所 0.002% (なし)
健康保険 業務・通勤途上以外の死傷病、出産に対する給付 法人又は事業所で使用されるすべての者に適用 (短時間労働者であっても所定労働時間・日数が一般労働者のおおむね3/4以上の場合は適用) 5.065%
(40歳以上は5.89%)
政府管掌健康保険の料率
(大阪支部の場合)
5.065%
(40歳以上は5.89%)
政府管掌健康保険の料率
(大阪支部の場合)
介護保険
(原則40歳以上)
要介護状態などに対する給付
厚生年金保険 老齢、障害および死亡に対する給付 9.091% 9.091%
子ども子育て拠出金 児童手当に対する拠出金 厚生年金保険の被保険者を使用する事業主 0.23% (なし)
合計     15.288% ※2,3,4
(40歳以上は
16.113%)
14.456% ※3,4
(40歳以上は
15.281%)
  1. 2017年4月現在の保険料
  2. 事業主負担の合計額は労災保険料率0.3%で計算
  3. 労働者災害補償保険及び雇用保険に関しては、概ね年収に対して保険料率を掛けて保険料を算出します。
  4. 健康保険以下に関しては、各個人の月給に基づいて標準報酬月額を決定し、その標準報酬月額に保険料率を掛けて保険料を算出します。
  5. 雇用保険 2017年1月1日より65歳以上の労働者も適用対象

3.届出

保険 届出の期限 届出先
労働者災害補償保険

保険関係成立の日(最初の労働者を雇った日)の翌日から10日以内

※保険関係成立の日の翌日から50日以内に概算保険料を申告・納付
所轄労働基準監督署
雇用保険 保険関係成立の日の翌日から10日以内 所轄ハローワーク
健康保険 保険関係成立の日の翌日から5日以内 所轄年金事務所または健康保険組合
厚生年金保険 保険関係成立の日の翌日から5日以内 所轄年金事務所

4.外国人に対する適用範囲

(1) 労働保険
  1. 労働者災害補償保険
    労働者災害補償保険は、国籍を問わず、外国人労働者にも適用され、いわゆる不法滞在者にも適用されます。
  2. 雇用保険
    雇用保険では国籍の如何を問わず、外国人労働者も当然雇用保険に加入することになります。
    事業主には外国人の雇い入れ・離職の際に、その氏名及び在留資格等について届出が義務付けられております。
(2) 社会保険

日本では次のいずれかに該当する者を除き、外国人従業員も国籍にかかわらず強制加入となります。

  1. 給与等を海外本社から支給されている者
  2. 短時間労働者
  3. 臨時的に使用される者
  4. 事業主が適用事業所でない事業所で働く者 ※従業員5名未満の個人の事業所など
  5. 年齢が70歳以上の者 ※ただし健康保険は75歳以上
  6. 社会保障協定の適用を受けている者

※1~5につきましては個人として国民健康保険及び国民年金に加入することになります。

<短期在留外国人の脱退一時金>

以下の4つの条件すべてに該当する外国人従業員が転勤または退職により国民年金及び厚生年金保険の資格を喪失し日本を出国した場合、出国後に脱退一時金を請求することができます。(平成29年3月以降は日本国内で請求が可能になりました。)

  1. 日本国籍を有していない者
  2. 国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間が6ヶ月以上ある者
  3. 日本に住所を有しなくなってから2年以内の者
  4. 年金を受ける権利を有したことがない者

※脱退一時金を請求する場合の注意事項

平成29年8月から老齢年金の受給資格期間が10年に短縮されます。日本と年金通算の協定を締結している相手国の年金加入期間のある方は、一定の要件のもと、年金加入期間を通算して、日本及び相手国の年金を受け取ることができる場合があります。社会保障協定をご確認ください。

<社会保障協定>

日本と社会保障協定を締結している国の社会保障制度を受けている外国人従業員は、一定の要件を満たせば、日本での社会保障制度の加入が免除されます。2017年1月時点の社会保障協定の発効状況について、日本は20ヶ国と協定を署名しており、うち16ヶ国は発効しています。なお、免除を受けるためには、適用証明書が必要となりますのでご注意下さい。

協定が発効済の国 ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ
チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド
署名済未発効の国 イタリア ルクセンブルク フィリピン スロバキア

5.法人の役員などの取扱

(1) 労働者災害補償保険

法人の役員は労働者ではないので、原則として労働者災害補償保険の給付は適用されません。
ただし、兼務役員など労働者性が認められる部分がある場合には、その労働者性の高い業務上の傷病について、労働者災害補償保険が適用される場合があります。

(2) 雇用保険

原則として法人の役員は雇用保険に加入することはできません。
ただし、兼務役員など労働者性が高く、役員報酬よりも労働者としての賃金の方が高い場合には、雇用保険に加入できる場合があります。

(3) 社会保険

法人の役員も健康保険及び厚生年金保険に加入しなければなりません。
しかし、健康保険は、業務上以外の傷病に対して療養の給付を行うことと定められているため、法人の役員が業務上の傷病を負った場合、一定の場合を除き原則として健康保険の給付を受けることができません。
つまり、法人の役員が業務上の傷病を負った場合には、健康保険の給付も労働者災害補償保険の給付も受けることができない場合がありますので注意が必要です。